感謝祭は甘奈に掛かった魔法を解く物語だった

 

こんばんは。
youtubeの胡散臭い考察動画みたいなタイトルですが、部分的にあってる思います。

一応注意ですが、この記事は感謝祭(アルスト編)のネタバレで出来ています。
未読の方はご注意ください。

 

 


まずは甘奈の開始時コミュ「happily ever after」です。

 

仕事で大崎家に上がったプロデューサーに、甘奈が姉妹の昔の写真を見せて、
全然変わっていないということを強調するコミュです。

タイトルは、「(絵本の)めでたしめでたし、ずっと幸せに」の英訳です。

絵本における「めでたしめでたし」というものは、話の一つの区切りであり
それ以上語られることはありません。代り映えしない、つまらないものであるので。

(少なくとも)感謝祭開始地点の甘奈は、甜花と一緒にいて、
絵本のハッピーエンドのように変化することのない関係を描いていたのではないのでしょうか。

 


甜花の開始時コミュ「3歩進んで、眠り姫」

「眠り姫」というフレーズが出てきますが、ここでは(皆さんご存じ)甜花の昼寝の好きっぷりを言っています。
本当の眠り姫の解説は後程。
ここでは、昼寝をすること=めでたしめでたし
という、甜花の価値観を見ることができました。


千雪の開始時コミュ「夢の中へ」

アイドルとしてステージに向かう時間を夢の中へ向かう時間である、と説明する千雪。
千雪にとってのアイドルは、夢に描いた存在であり、その夢に自分がなれることへの喜び、
そういったことが書かれていました。

 


感謝祭開始時コミュ「ワンス・アポン・ア・タイム」

こちらは「昔々~」の英訳です。ハッピーエンドというテーマが変わっていく一連の流れの始まりということになります。
甜花が昼寝の中で「絵本のような夢」を見ていたことから連想しました。

 


感謝祭s1のコミュ「ハッピーエンドの先だとしたら」

感謝祭の準備のため絵本を集める千雪。
千雪はこの場面で「シンデレラ」「いばら姫」「親指姫」を例に挙げます。
この3人のヒロインが、アルストロメリアの3人であるように私は感じました。
こちらも後程解説します。
また、千雪がプロデューサーに質問をします。
「夢は未来にあるものだった。ではそれが叶いつつある今を何と呼ぶか?」
色々な夢があり、それをひとつひとつ叶えていく。
夢が叶う=絵本のめでたしであるとしたら、絵本に描かれない部分である今この時は?
それをまとめて、ハッピーエンドのその先は?としてるのだと思いました。
終盤、休みを返上してでも感謝祭を頑張ろうとする甜花の姿に驚く甘奈も印象的でした。
甜花の口からも、「アイドル」として頑張りたい、と言っていましたね。


感謝祭s2 「知りせば覚めざらましを」

このタイトル、ひょっとすると凛世pなら見覚えがあるのではないでしょうか?
「いい夢を見たのか?」を選ぶとパーフェクトコミュニケーションになるアレです。
この和歌は、「古今和歌集」に収録されている小野小町の歌です。
全文は、「思いつつ 寝ればや人の 見えつらむ 夢と知りせば 覚めざらましを」
です。
意味は「あの人のことを思いながら寝たから、夢に出てきたのだろうか。
もし夢だと気が付かなかったら、目覚めなかったのに。(目覚めてしまった。)」
凛世の時の意味としては寝ても覚めてもプロデューサーと一緒で嬉しい。の意味になります。
歌人と同じ体験をするのは凛世にとって最悪ですね...

今回は後半2句が重要になります。

夢だと気が付かなかったら、の「夢」は甘奈が挨拶の練習の時に語っていた
アルストロメリアとプロデューサーとずっと一緒で変わらないこと、に当たるかと思います。

甘奈はその「夢」こそが自分の未来であると信じていました。s4でも語られますが。
しかし歌に当てはめると、その夢は覚めてしまいます。
そのきっかけになるのがs1での甜花の成長を目の当たりにしたこと、s2での千雪からの質問や、
リハーサルでのほかの二人の「ハッピーエンド」への向かい方です。

 


感謝祭s3 「ビビ・バビ・ピンヒール」

「シンデレラ」の魔女の呪文、ビビデ・バビデ・ブーが元ネタでしょう。
ピンヒールはガラスの靴とかけているのでしょうか。
甘奈がプロデューサーに不安との向き合い方を尋ねる場面です。
この不安はs4で語られる二人との違いへの気づき、今まで未来だと信じていた夢が揺らいだこと
から来ています。
ここで重要になるのが、甘奈が見ていた夢がある種の呪文のようなものであるとするのなら、
12時に解ける魔女の呪文のように、いつか覚めるものであると示唆されていることでしょう。
魔法は解けるものだけど、その解き方が分からない。
そこに四苦八苦していることが不安の根源なのかもしれません。

 


感謝祭s4 「いつまでも、いつまでも」

絵本だとこの後につながるのは「happily ever after(幸せに)」です。
二人に不安を打ち明け、テーマを変える。そのまま幸せなことを話し合って暗転。
ですが、こここそが甘奈に掛かった魔法を解くカギとなる場面になっています。

甜花の、「起きられるから、頑張らなくても」というセリフがありますが、
ここに感謝祭のすべてが詰まっているといっても過言ではありません。

ここで「眠り姫」の話を少し挟みます。
魔女の呪文で100年間眠っていた王女は、王子のキスで目覚める。
端折ると大体こんな感じです。
眠っている間に王国がいばらに覆われたので「いばら姫」とも言います。

甜花がアイドルになる前はまさに眠っている姫状態でした。
この場合の魔女は甘奈になります。自分の見ていた夢を守るため、甜花が変わらないよう色々世話をしていました。
きっかけこそ部活を始めるような感覚だったアイドルでしたが、甜花にとってはそれが王子様のキスのように
自分を魔法から解き、目覚めさせるものになりました。

本意としては、「無理に変わろうとしなくても、そのきっかけは必ず訪れるから急がないで大丈夫」
にまとまります。お姉ちゃんすごい。

 


感謝祭エンディング「花よ、時よ、そのまにまに」

まにまに=~の流れのままに、~とともに
どちらとも掛かっているとは思いますが、本編の流れ的には前者が主でしょう。
未来へ行くことは変わっていくことではあるが、本質は変わらない。
千雪のした質問は個別エンドで回収されます。

 


個別エンド 甘奈「Go to the future A」

「ゆらゆらアクアリウム」のtrueエンドに「向かう(Go)」がくっつきました。
今までの未来が夢であったと受け入れ、マイペースに自分が変わるきっかけを探そうと
決意します。そのきっかけがある場所は未来で、そこに向かおうとする積極さが加わったことが
ゆらゆらtureとの変化です。
いつかきっかけを見つけた時が「変わるときは一瞬」に当たる場面であり、
その時をプロデューサーと一緒に迎えたい、という「アイドル」としての
目標がはっきり分かりました。

 


個別エンド 甜花「数歩下がって、眠り姫」

最初にせっかく3歩進んだのに、また下がってしまいました。
休みを要求して、昼寝をすることがめでたしめでたし。
最初から最後まで一貫していて潔いですね。
恐らく甜花にとって夢や未来は元から存在せず、もっと即物的な考えで生きているかもしれません。
s3で千雪が夢の先には何がある?という質問に、夢は覚めるもの。と言い切っていることも根拠です。
ある意味でとても動物的で、うらやましい信念です。

 


個別エンド 千雪「マロウハーブティー

s1の質問、ハッピーエンドのその先に何があるか、が回収されます。
それは新しい夢でした。
プロデューサー感謝祭で語られた補足に、
アルストロメリアの絵本の始まり方は?
という質問がありましたが、
その解答が新しい夢、になるのではないか、と考えます。

 


補足


3人のヒロインをアルストロメリアの3人に当てはめることについて

s1の絵本のヒロインは、それぞれアルストロメリアの3人を示唆しているのではないか、
という説です。

シンデレラ=甘奈
魔女のかけた魔法は必ず解ける、というモチーフに使われたと思われます。
ピンヒールが折れてしまったのも魔法が解けつつあることを表わしています。

いばら姫=眠り姫=甜花
昼寝からとっているところも部分的にはありますが、
あるきっかけによって目覚めたことのモチーフとして使われたことが大きいです。
余談ですが、「眠り姫」の収録されている童話集の名前は「サンドリヨン」です。
偶然だと思いますが面白いですね。

親指姫=千雪
親指姫のストーリーは、いくつもの未来から自分が望んだものを選ぶという話です。
雑貨屋という安全稗があったにも関わらずアイドルという未来を選択し、
結果的に幸せを手にした。そのあたりでしょうか。若干消去法ではありますが...

 


s3の花屋で選んだ花について

花言葉は決める人によって変わるので正確性の意味では微妙です。
参考程度にお願いします。

白いトルコキキョウ=思いやり
薔薇のつぼみ=少女時代 純粋な愛

甜花の「つぼみでもいいの」は甘奈と甜花のことを指しているとも取れます。
「咲くときを楽しめる」という千雪の回答も粋です。

 


感想

初見で感謝祭を見たときは、「どうして甘奈がこんな目に」と、
ゆらゆらアクアリウムとの乖離にしばらく耐えられませんでした。

しかし今回しっかり見直したことで、
Q.どうして感謝祭で甘奈は苦悩したのか

に、

A.かかっていた魔法を解き、未来へ行くため

と、自分なりに解決できたのでいいシナリオだと思いました。(上から)

改めて見ると、甘奈優遇がすごいシナリオで、嬉しい反面申し訳なくもなりました。
一人大長編もらったみたいなもんだし。

そして甘奈がまた好きになりました。
この先の未来もずっと一緒に歩んでいこうな...


今回はこの辺で締めます。

最後まで見ていただきありがとうございました!